うちのワンルームのクローゼット

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<<   作成日時 : 2010/11/21 08:32   >>

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をしてました昨日です。本編のアナザーエピソードどうぞー。

=====


another episode


『彼方・20年前のあの日』




マサラタウン、ある日の夜・・・ダイヤの自宅にて。


夕食も終え、其々が各々の、ゆったりとした時間を刻む中。
居間ではノアとアオイの二人が、何をするでもなくその無雑作な時間を楽しんでいた。

「あの、お母さん。ちょっといいですか?」
「んー?何かしら」
「お父さん・・・カズマさんって、どんな方なんですか?」

ふと・・・あまりにもふっと、唐突に思い浮かんだ疑問を、ノアはアオイに投げ付けた。
一息入れて、語りだすアオイ。
その時紡がれたのもまた、『20年前』に繋がる一つのピース。
端に揃えられた小さな・・・されど、欠けてはいけない一つである・・・




「う〜〜ん・・・カズマさん、かぁ・・・」
「あ、えっと、答え辛いなら別に良いんですが・・・」
「そうじゃないの。あの人、単純な優男っぽいけど割と複雑だから・・・何処から語ればいいのかなって」
一時の思案に暮れるアオイ。そして・・・
「・・・そうね。じゃあ、20年前から始めましょっか」
「20年、前・・・?」
「そう・・・旧ロケット団壊滅事件の日。何の因果かしら、あの日はね、私とカズマさんの結婚式だったの」
驚きの表情に代わるも、言葉を挟めないノア。
それを見て、アオイは更に言葉を進めていく。
「カズマさんもね、旧ロケット団の一員だったの。
まぁ、実力は最下層・・・ギリギリ入れたってぐらいのモノだったんだけどね。
・・・でも、あの人馬鹿みたいに優しいから・・・事件があったとわかるや否や、式ほっぽり出して行っちゃったの」


『―――誰か、誰か居ないのか・・・!団長!!ケンタッ!!誰か・・・誰か・・・!!!』
燃え盛る炎の中で、叫ぶ。
分かっている。全ては手遅れなのだと。
だけど信じて止まない。万が一・・・億が一、助けを求める誰かがそこに居ると。
それは優しさ? それとも、現実からの逃避なのだろうか。


「・・・その時の被害規模と犠牲者は、大体知ってるわよね?」
無言で頷くノア。過去を振り返ったからか、アオイの表情は、何処か、寂しい。
「あの後、カズマさんも酷く不安定になっちゃってね・・・。
夜中に目を覚ましては、子供みたいに泣きじゃくる日が続いたわ。
・・・可愛いだなんて言えない・・・悲惨で、悲痛な、自責の涙」


誰も彼を責めるわけではない。
彼に非は無く、その災厄は、起こるべくして起きた"必然"。
―――誰にも止められなかった。彼がその場に居たところで、何も変わらない。
燃え尽き焼けた遺物が一つ、増えただけだ。

それでも彼は自身を責める。
何故誰も救えなかったのかと。何故こんなのうのうと、生きているのだろうと。
責める。責め続ける。やり場の無い思いは、涙だけでは流しきれない・・・


「・・・大変だったなぁ。カズマさん、何度か本気で自殺しかけた事があったし・・・。」
「あ、あの・・・カズマさんの、手持ちの方は・・・・・・止めたり、慰めたり・・・その・・・」
「えぇ・・・皆で八方手を尽くした。考え得る全ての慰めをやってみたわ。
でも、駄目だった。そんな簡単に忘れられるほど、カズマさんは単純な人じゃなかったもの」
「・・・だったら、どうやって・・・」
「・・・・・・実は、ね。私も知らないの。
ある日家を出て、夜まで帰ってこなくて・・・私も皆も、もう帰ってこないものだと思ってたわ・・・。
・・・でも、カズマさんは帰ってきた。その目に、輝きを取り戻して、ね」


・・・彼は、出会った。
埋められぬ悲しみに、その身を投げ出そうとした時に。
―――暖かな輝き。暗黒を散らす、陽光の如き炎―――
『・・・こんばんは。こんな時間に、何処に行くのかしら』
『・・・・・・・・・放っておいてくれ。俺は、死にに行くんだ』
『そう・・・でも、それは無理だわ。貴方には今、生くべく"必然"が纏わり付いているもの』
『・・・・・・知った、事か。此処から、飛び落ちれば―――』
『残念でした。私がそんな事させないわ』
『・・・何故だ・・・・・・何故だ・・・!何故俺を生かすッ!!
 皆、良いヤツだったんだ!俺なんかよりずっと強かったんだッ!!
 誰も助けられない俺なんかより―――』
『・・・いいえ、貴方は助けたわ』
『出鱈目をッ!!俺は、誰も・・・』
『貴方は助けた。貴方自身の"未来"を。そこから生まれる、新しい命を。
 これから貴方が護る、全てを・・・』
『・・・・・・・・・・・・え・・・・・・・・・?』
『貴方は只のヒトで、過去を変える事は出来ない。未来を見る事も出来なかった。
 ・・・悲しい事件だったのは分かるわ。私に集った命の炎が教えてくれた。
 でも、いつまでも其処で足踏みして入られないのよ?
 貴方の居場所が、貴方が愛した者が・・・そして、貴方を愛する者が。その全てが貴方の生を喜んでいる。』
『・・・・・・俺、を・・・・・・』
『おめでとう。貴方は、自分の弱さを知った。命の重さと軽さを知った。
 後は貴方がどう動くか・・・。その手は未だ、誰かの手に届くはずでしょう?』


「その後のカズマさんは、なんか凄かったなぁ。取り付かれた様に猛勉強を始めてねー。
で、その息抜きにって、私にDVD借りに来たのよ。『人を救う作品が見たい』って言ってね」
そう言ってアオイは、二つのDVDを取り出した。
タイトルには、【救急戦隊】だの【特警】だのと描かれている。
「コレを支えに3年間勉強して、あの人はセキエイ所属の派遣トレーナーになった。
レンジャーでなく、トレーナーとして・・・人を救う為の仕事。
・・・まぁ、それでようやく少しのゆとりが出来て・・・ちょっとした勢いもあって、ダイヤ作っちゃった☆」
「つ、作っちゃったって・・・そんな軽く言う事じゃないですよぉ・・・」
部屋に、ようやく笑い声が響いた。
「うん、まぁ・・・そんな、とても優しい強さを持った人かしら。カズマさんは」
「・・・やっぱり、親子なんですね。ダイヤさんも、今はそんな、強くて優しい人ですし」
「そうねー。でもそれはきっと、ノアちゃんは皆のおかげ。
・・・力になれなかった私にとっては、ちょぉっと羨ましい、かな」
「え、えっと、そんな・・・!」
「冗談よ、冗談っ。さって、この話はここまで。もう寝ないと、お肌に悪いもんねー」
そうして話を切り上げるアオイ。

・・・だが、彼女はまだ話せる事があった。話さないだけ・・・話す必要が無いだけ。
それは些細な疑惑。彼は全てを教えてくれてないのだ、と言う確信。
言葉にする必要は無い。言葉にすると、心を喰われてしまう。
彼への信愛を、ずっと確固なモノにしておくのならば・・・何も知らないフリをし続けよう。
彼女にとって彼は、ずっと昔から『私を支えてくれた笑顔の持ち主』なのだから・・・。











『・・・君は、笑顔が上手いんだな。随分と、肝が座っているようだ』
『・・・いいえ、コレでも緊張していますよ。それにちゃんと感情どおりの表情が出来ます』
『ならば、何故笑顔のままで?』
『愛する者達との、約束ですから。自分はずっと、穏やかな笑みを浮かべて居よう、と』
『・・・なるほどな、良い心がけだ。さて、では君のコードネームを授けよう』
『コードネーム、ですか。別に名前のままでも構わないのですが』
『形式上、と言うヤツだ。それに、有れば有ったで便利なものでな』
『あぁ、"ハンサム"さんですね。それで、自分にはどんな?』
『君の笑顔は君自身の魅力であり、同時に本心を覆い隠す武器にもなる。
 よって、君には"ポーカー"のコードネームを与えよう。
 ・・・改めて、君の活躍に期待しているよ。国際警察実動科警部"ポーカー"・・・カズマ=マツブサ』
『―――イエス、ボス』




=====

時系列としましては、最終回終了後のとある日、
行が開いてるのが、ダイヤの親父、カズマ視点の過去のお話。
友達と喋ってて、せっかくなんで書いてしまおうと思いつつ書きました次第。
別に本編と深くリンクする事でもないし、ネタバレ度も高くないのでそのまま公開です。



・・・え、本編は?

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