【日々是】幕間ショートストーリー第2段【精進】

ダミー


スリーパー=俺と言う脳内変換でお楽しみください。
では、妄想駄文空間へようこそ。


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マサラタウンから再出発した後の、とある日の夜--

ダイヤ達にとって、久方振りの野宿だった。
…とは言え、普段萌えもん達は各々の住家であるもんすたぁボールの中で休む。
が、この日に限ってその普段の光景は消え失せていた。
ダイヤの腕を掴まえて離さないようにして寝息を立てる黄色い影…
デンリュウのメルアが、そこにいる。
「…ったく…ルビィにも困ったもんだ…」
眠ることが出来ないダイヤが、小さく呟く。

この日の夕食時、何気ない雑談が知らぬ間に道を逸れ、怪談話となっていた。
それが、今この状態に至る出来事だ。
「……アイツの話、生々しいんだよなぁ」
ルビィの怪談だか実体験だか分からない話を思い出し、思わず身震いするダイヤ。
どうにか気を反らして寝ようとするも、今度はその絡まった腕から、
精神年齢と反比例して程よく育ったメルアの身体の柔らかさを真っ先に感じてしまい、
別の意味で身震いしてしまう。
端から見れば微笑ましい光景に映るかも知れないが、本人はたまったもんじゃないだろう。

誰か助け舟を…


「…誰か起きて…る訳ないよなぁ」
と、小さく愚痴て辺りを見回す。
一緒に外で寝ることにしたのは、メルア以外にバクフーンのノア、サンドパンのサーシャ、
そしてネイティオのネーネだった。
ノアもサーシャも、よく眠っている。
これでは、助け船に期待できない…と思った矢先、ある事実に気付いた。

ネーネが、居ない。

即座にボールを確認する。――居ない。
もう一度周囲を見回す。――当然、居ない。
ダイヤの脳裏に、警鐘が鳴る。
それもそうだ。自らが目を離したために仲間達に危機が迫る…そんな事が、これまでの旅で何度かあった。
他人からすれば、神経質で過保護と笑われるだろう。
だがそういう事ほど、当人の中では何よりも優先度が高い事である。
ダイヤもまた、そういった人間の一人なのだ。

メルアを起こさないようにゆっくり腕を引き抜き、そっと簡易テントから抜け出した。
まだ近くに居るはずだ、と自らを鼓舞しながら―



数分後、近くの草むらの中で、溶け込むように佇むネーネの姿を見つけたダイヤ。
軽く安堵の息を吐き、「ネーネ」と声をかける。
「………主…?」
振り向いた彼女の目には、涙が浮かんでいた…

「ど、どうしたネーネ!何かあったのか!?」
駆け寄るダイヤ。心配で顔が必死になっている。
「野生の萌えもんに襲われたか…?あ、それともまた、ヤバいのにシンクロしちゃったとか…?」
あたふたと、だが心底よりネーネを気にかけるダイヤ。
そんな彼を見て、クスッと笑って涙を拭うネーネ。
「………大丈夫。何もなかったよ、主。ただ――」

―――昔…今よりもっと、幼い頃を思い出しただけ。

「幼い、頃…?」
「………うん。ねぇ主…主はエスパータイプについて、どれくらい知ってる?」
思わず考え込むダイヤ。
エスパータイプと言えば、不可思議な超能力を自在に操れる萌えもんである。
サイコキノ、テレポート、サイコメトラーといった能力を持つものが多く、代表的な萌えもんと言えば、
ケーシィ種やラルトス種だろう。
そしてネーネもまた、そのエスパータイプの一員なのである。
その考えをまとめ、声にしようとした時に、ネーネの声に遮られる。
「………うん、主が考えてる通り。
………ただね、私達ネイティ達は、ケーシィやラルトスに比べて、その力は弱いの」
少し…ほんの少しだけ暗い笑顔を向けるネーネ。
まるで、自らに宿った力を自嘲するかのように――
「………シンクロっていう特性は、本来は
『自分の異常が相手自身にも作用していると思い込ませる』特性。
………いわば、強制催眠術。」
分かったような分からないような…そんな複雑な顔をするダイヤ。
「………難しかった、かな?………ゴメンね、説明上手くなくて」
「いんや、悪いのは俺の理解力が足りないからだ。こっちこそゴメン」
相変わらずの屈託無い笑顔で応えるダイヤに、ネーネもまた笑顔で返す。
「………私が言いたかったのは、本来シンクロには他者の精神を受信、それに介入出来る力は無い、って事。
………ラルトス達は、誰でもそれが出来る特別種だけどね」
そう言われて、気が付いた。
本来ネイティ達が持ちえない力を、ネーネは持っている。
それを幸運と喜ぶか不運と嘆くかは、ネーネの性格を知るダイヤにはたやすく理解できた。
「………ずっとね、同族からは鬼子って忌み嫌われてた。
………ニンゲンに会っても、怖いことを考えてるヒトが多かった」
強さでしか尺を測れない者達の事だろうか…
確かに、スポーツ感覚で普及している萌えもんバトルで、強さだけを求めるトレーナーも少なくない。
そんな者の、道具を選ぶような意思は、ネーネにとっては恐怖以外の何物でもなかっただろう。
その寂しい過去に、ダイヤの顔も曇る。無意味と知りながら、同情せざるを得ないからだ。
「……俺は、怖くなかったか……?」
恐る恐る、だがハッキリと尋ねるダイヤ。
あの時、自らの行動を振り返る。
そこに居たのは、餓えた犬のような形相で草むらを掻き分ける自分自身。
端から見たらどう考えても危険人物。普通の萌えもんなら近寄ろうともしないはずだ。
だが、そんなダイヤの前に現れたネイティこそ…
この、ネーネだったのだ。

あの時の光景を思い出し、笑顔を浮かべるネーネ。
「………あの時はね、おかしなニンゲンが来た、って思ったの。
………ただ欲しいって言う、強くて純粋な…空の青みたいな、キレイな欲求。
………どんな人なのかなって近寄ってみたら、突然ボールが迫ってきて、ね」
控えめなネーネからは珍しい、少し意地悪な口調でダイヤに返す。
一方ダイヤは、自らの行いに恥じたのか、顔を赤らめて「…ゴメン」と、小さく謝った。
「………ううん、謝らないで。
………私は、主と出会えて良かったと思ってる。あの時も、言ったでしょ?」

『………主がそんな人だから、素直について行こうと思ったんだよ?』

あの時…サカキに敗れ、仲間を奪われ、ノアも離れ…
孤独と無力感に打ち震えてたあの時、ダイヤを救ってくれた言葉…
目頭が熱くなる。
あの時の喜びと、自分は彼女に何をしてあげれているのかという不安が入り混じり、
涙になろうとしている。
グッと堪えるダイヤ。だが、相手がネーネならば、その行為にどれ程の意味があるのだろうか。

「………ねぇ、主」
再度、ネーネが話を切り出す。だがその顔に笑顔は無く、強張っている。
それは、回答に対する恐怖か、不安か…
「………主はさっき、私に怖いか、って聞いたよね?
………じゃあ主は…私の事、怖くない?」
思わぬ問いかけに、沈黙するダイヤ。
怖くない、と即答したいが、あの話の後ではそうもし辛い。
支えあえる仲間を出会い、強くなったとはいえ、ネーネはやはり怖いのだ。
未だ成長を続ける、自身に宿る力―――精神感応力<シンクロ>と、過去未来視<クロノアイズ>。
…それは、こんな小さな身体に宿るには、あまりにも大きすぎる力―――
怖くない、大丈夫だ、心配するな――そんな在り来たりな励ましが、
この少女の何処に届くと言うのか?伝えるべき事は、そうじゃない…
「…そう、だな…。ネーネの力、凄いと思う。頼りになるし、言い方は悪いけど…便利、だし」
ゆっくりと言葉を続けるダイヤ。
眼前の少女の真摯な瞳から、決して背けないようにして。
「それと同時に、怖いとも思う。俺には、未知の力だから、な…
その力が、何時ネーネに牙を剥くか分からない。俺は、それが一番怖い」
「………私、は? ………心、読める、私…怖く、ない、の…?」
出会った時のように、たどたどしく言葉を繋げるネーネ。
きっと、多くのシンクロから身を護る為に、彼女はその心を閉じるしかなかったのだろう…
そんな自責を続ける彼女に対し、少し悲しそうに…だけど精一杯の笑顔を向けて、ダイヤは言う。


「…当たり前だろ」


月夜の二人


その言葉が引鉄になったのか、ダイヤの胸に飛び込み、泣き出すネーネ。
ダイヤに出来るただ唯一の事は、「彼女を受け入れる」事…
生まれた時に居場所を失った彼女の、「素直で居られる居場所」である事…
それが、ダイヤの出した答えだった。
優しく、子供をあやすように頭を撫でるダイヤ。
深夜の草むらに、小さな泣き声が風のように響く…

テントに戻った二人。
目を落とした先に、苦しそうな寝顔を浮かべるメルアの姿があった。
「…そうだ。なぁネーネ、こんな事、出来ないか?」
ネーネに耳打ちするダイヤ。
「………うん、やってみる」
薄く、桃色に発光するネーネ。他者への精神介入を行う際に発せられる、彼女だけの『シンクロ』。
放たれている相手は、メルアだ。
…一分も満たないうちに、メルアの顔が安らかになる。
いや、むしろ嬉しそうな笑顔を浮かべ、眠っている。
「………できた、かな?」
「…メルアの寝顔を見る限り、上出来…かな?それじゃ、俺達も寝るか」
ネーネが笑顔で肯定し、各々の定位置に戻り、眠る……



翌朝

ダイヤの腕を掴み、嬉しそうに昨晩の夢を語るメルア。
怖いものに追いかけられていたけど、ダイヤが出てきて全部追い払ってくれた、
と言う内容らしい。
無邪気に喜ぶメルアを見て、ネーネにも自然と笑顔が生まれる。
そう、この夢はネーネがメルアの精神に干渉して作り出した、捏造の夢。
メルアが悪夢にうなされてると見たダイヤが、ふと思いついた事だった。
確かに上出来、結果は上場。
悪夢はそれを観るメルア自身が求める「ヒーロー」に、打ち消されたのだ。


昨晩のダイヤの言葉を思い返すネーネ。彼女が泣き止んだ、すぐ後の事―――



『なぁネーネ、知ってるか?』

『強い力って言うのは、自分自身の為だけに使うと、狂気になるんだ』

『でもな、』

『誰かを護る為に使うとな、それは優しい力のままでいられるんだってさ』

『ネーネはいつも、俺達を護る為に力を使ってくれてる』

『だから、さ』

『ネーネの力は、優しい力なんだよ。絶対に、絶対』


その言葉を胸に、彼女は飛ぶ。
あの日出会った想いと同じ、澄んだ青い空を―――



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って感じです。長いね、長いよねorz
今回はネーネがメイン、普通の小説とか文庫みたいに、三人称視点で書いて見ました。
描写が分かりにくいのは、スキルがおっついてないからだと思ってくださいorz

今回も絵師はキヮミん。
前書いた時に「描くよッ!」って言ってくれて、マジに有言実行してくれました。
多謝感激orz


次は誰書こうかなー…うん、そんな事より本編ですね、わかります。

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